ブログ | 埼玉県さいたま市の法律事務所なら弁護士法人弁護士神尾尊礼。信頼できる弁護士がご相談にのります。

ブログ

刑事事件その2~服の上から撮影しても逮捕されるの?

2014/10/28

弁護士の神尾です。

痴漢や盗撮が社会問題化しています。

 

先日、女性のズボン姿を盗撮したとして、男性が逮捕されました。服の上から撮影しても、逮捕されてしまうのでしょうか。

 

*なお、男性は否認をしているという報道もあり、本ブログでは当該男性の逮捕が正当か否かを論じることはしません。あくまで「服の上から撮影する行為」が法律的にどう判断されるのかに絞って論じたいと思います。

 

「スカートの中ならまだしも、ズボンの上からなら盗撮ではないのでは?」

「スカートの上からでも気持ち悪いし、盗撮だよ!」

 

と、様々な意見があると思います。

 

実は、最高裁判所まで争われたことがあります。

 

裁判所は、ショッピングセンターで5分間付けねらい、背後1~3メートルの距離で、細身の女性の臀部を携帯電話のカメラで10回ほど撮影した行為について、

 

「被害者が気付いておらず」「着用したズボンの上からだったとしても」

「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな動作であることは明らかで」

、「これを知ったときに被害者を著しくしゅう恥させ、被害者に不安を覚えさせ

るものといえる」

 

として、条例違反にあたるとしました(平成20年11月10日判決刑集62-10-2853)。

 

感覚としては、先ほど述べた付けねらい行為等まで総合して考えれば処罰もやむなしかなあとは思います。

ただ、あまりに処罰範囲を広げすぎると、例えば街頭インタビューや個人のブログ等で偶然背景に映った通行人が、「とても恥ずかしい思いをした!」と思った場合まで対象となってしまうことになってしまうかも・・・

 

たまたまスカイツリーを撮影していたら、風でスカートが捲くれた女性が映ってしまい、気付かずブログにアップしてしまった・・・

 

故意の問題があるので即有罪とまでは思いませんが、処罰範囲をよく検討する必要がありそうです。

 

(個人的には、携帯電話のような技術の発展に法律が追いついていない一場面のようにも思いますが、それはまた別の機会に)


ページの先頭へ