用語解説~「公判前整理手続」とは(コナンの世界は違う刑事訴訟法が適用されている!)
2018/05/15
映画名探偵コナン「ゼロの執行人」で、公判前整理手続という単語が出てきましたね。
世界有数の犯罪都市である米花町は、この日本とは別の刑事訴訟法が使われているようですので、本来の意味での公判前整理手続や違いについて説明します(以下、真相につながるようなネタバレはありません!)。
刑事事件の流れのおさらい
まず簡単に、刑事事件の流れをご説明します。
事件が起きると、警察・検察が「捜査」をします。
犯人とされる人は容疑者(法律用語では被疑者)と呼ばれています。
警察が記録等を検察に送ることを、「送検」と呼んでいます。書類だけ送るのを「書類送検」、身柄も一緒に送るのを単に「送検」と呼んでいます(マスコミ用語)。
送検されたら検察官もいろいろと捜査し、「起訴」をします。
起訴とは、裁判所に対して、「この人が犯人っぽいので裁いてくれ」と意思表示をすることです。
受けた裁判所は、裁判(公判といいます)を開き、有罪か無罪かを決めていきます。
日本における公判前整理手続
公判「ぜん」整理手続と呼んでいます。
これは、起訴されてから裁判までの間に、証拠等を整理する手続です。
この段階で、弁護人は初めて証拠を目にすることができます。
被告人にも立ち会う権利があるので、通常の法廷で(つまり、検察官と弁護人がいて、裁判官(たち)は法壇の上にいます)行います。
ただし、あくまで整理する手続であって本番ではないので、非公開で行われます。
コナンの世界での「公判前整理手続」
公判「まえ」整理手続と呼んでいましたね。
また、起訴される前に、裁判官室で弁護人と検察官が呼ばれ(しかも立たされて)、証拠の整理などをしていました。
弁護人にとってシビアだなと思ったのは以下の点。
・起訴される前に公判「まえ」整理手続はスタートするようだ。身柄解放に向けて争おうにも整理手続がスタートしてしまうとなかなか厳しい戦いになりそう
・起訴される前に裁判官が事件の内容をかなり把握できるようだ。さすが犯罪都市、事件が多いのだろう。ただ、予断を与えてしまいかねず、否認事件だとかなり厳しそう
・裁判官室で立たされる。これは腰痛持ちの弁護士には厳しそう
・裁判室で行うのは、事件が多すぎて法廷が取れないからなのだろう。ただ、被告人(まだ起訴されていないので「被疑者」)は出頭できそうになく、参加する権利はなさそう
他方、弁護人にとって有利だと思ったのは以下の点。
・起訴前に記録が読める!これは大きい。起訴後だと証拠自体消滅していることもあり(例えば防犯カメラ)、弁護しやすくなりそう
・準備が大変になる分、雀の涙ほどの報酬がカラスの涙くらいにはなりそうかな・・・(米花町の事件数を考えると無理か)
あとは、弁護人の選任の仕方など、ツッコミどころはいっぱいありましたが、次回以降に続きます。