法律解説~安室さんは紳士!

2018/06/01

映画名探偵コナン「ゼロの執行人」の話題第2弾です。今回も真相のネタバレ要素はありません。

 

大人気安室透さんが、被疑者に対して面会室で面会しているシーンがあります。

アレレ、警察官だから取調室ではないのかな・・・と疑問に持たれた方もいらっしゃるのでは。

 

もちろんキャリア安室さんは司法警察員ですので、取調べ権限があります。

取調室を使おうと思えば使えるはずです。

ところが、なぜかアクリル板越しの面会室を選んでいます。

 

私は、これを安室さんなりの被疑者に対する敬意だと考えています。

 

警察官も、一般市民の1人です。普通の人と同じように、面会室で面会(一般面会と言います)をすることができます。

では、なぜ取調べではなく一般面会を選んだか。

 

法律上、一般面会は弁護人接見とは異なり、立会人(警察官)がいます(刑事施設収容法116条)。これは警察官が一般面会をする場合でも変わりません。

被疑者との会話も聞かれてしまいます。秘密の会話はしにくくなります。

外部に漏れる危険を冒してまで一般面会をした理由は、安室さんの気持ち以外に理由は見当たりません。

安室さんは、被疑者に対して敬意をもっており、犯罪者扱いとほぼイコールの取調べという形式を採りたくなったのではないか、と考えるのが彼らしいと思います。

立会人に秘密の会話を聞かれてもなお被疑者の尊厳を考えた。男気ゆえの行動だろうと思います。

 

ちなみに、取調べをすると調書を取らなければならない、被疑者と何を話したか公になってしまうという説も聞きましたが、これはあり得ません。

取調べをして調書を作成しないことはいくらでもありますし、被疑事実が〇〇でしたので、録音録画もありません。

 

もちろん、身分を隠したくて一般面会をした、という可能性もゼロではありませんが、

彼は(よほど国家に危険が及ばない限りは)正々堂々振る舞うことを信条にしている節があり、やはり紳士的な行動だったのではないかと考える方が彼らしいかなと思っています。

 

結論としては、カッコよかった、ということに尽きます。