佐世保女子高生殺害事件はどうなっていくの(その4)
2014/09/02
弁護士の神尾です。
時間が空いてしまいましたが、いよいよ核心に迫ります。
最終的な処分がどうなるのかについて、今日は考察したいと思います。
未成年の処遇には、どのような種類があるの?
未成年の事件の場合、大きく分けて3つの結論があります。
1つ目・・・保護観察
少年院等に入れることなく、社会内で更生するもの。
審判直後に家に帰ることができる点で、大人の場合の「執行猶予」に近いといえます。ただ、保護観察中も保護観察所に通うことが必要であるなど、多少手厚い保護がされています。
2つ目・・・少年院送致
ここでは、少年院送致に限定して説明してしまいます。
保護観察が執行猶予なら、少年院送致は「実刑」でしょうか。
ただ、大人の場合の刑務所とは異なります。刑務所は罪を償いに行くところ、少年院は立ち直りに行くところです。
3つ目・・・逆送
保護観察と少年院送致は、(少年にとってはとてつもなく大きな違いがあるのですが)いずれも未成年として扱うことにかわりありません。
つまり「この子は立ち直る余地があるから、大人とは区別して更生に向けて立ち直らせよう」という思いのもと、社会内で更生させてみたり、少年院に行かせて更生させてみたりするわけです。
他方、この子は未成年として扱うべきではない、もう大人と同じ扱いをすべきだ、という場合があります。
それが、逆送です。
これがされると、家庭裁判所は、検察庁に事件を戻します。検察庁は、原則として大人と同じように起訴します。そして、大人と同じように、刑事裁判が行われることになります。
一概にどれが重い処遇かは決められませんが、一般には
保護観察<少年院送致<逆送
の順に、重くなっていきます。
この女子高生の場合は?
それでは、今回の女子高生の場合はどうなるのでしょうか。
これは、手元に記録がないし、直接会ってもいないので、あくまで報道の内容だけからみて、私の経験からみるとどうなるか、という推測になります。
ずばり、「(医療)少年院送致」だろうと思います。
あれだけのことを起こしておいて、大人と同じ裁判にかけなくていいの?という意見が聞かれそうです。
ただ、彼女の年齢等からすると、逆送の判断はやや出しにくいのではないだろうか、というのが感覚です。
医療少年院だろうという理由はいくつかありますが、ここでは詳しく述べるのは止めておきます。
外野はいくらでも言えますからね。
あくまでこの連載は、話題の事件をもとに、少年事件の流れを解説することに主眼があります。
被害者のご冥福を祈ると共に、加害者の更生を切に願って、この連載を終わりにします。